テーマ 115 時代を超えて管理職者に求められるもの
■孔子の言葉「君子に九思あり」
孔子は良きリーダーとしての条件を
「君子に九思あり」と9点挙げております。
(1)的確にものを観ることができる。
(2)部下の言うことを誤りなくよく聞く。
(3)表情を穏やかに保つ。
(4)態度は謙虚に礼儀正しくする。
(5)誠実な言葉で話す。
(6)仕事は慎重に行う。
(7)分からないことはよく調べ、部下にも聞くなどする。
(8)怒る時はその結果生じる問題を考える。
(9)社会正義に反した利益を得ようとしていないか考える。
孔子は紀元前500年前の思想家ですが、
上記の言葉は今の時代のリーダー論でも
よく見かける言葉でもあります。
孔子の論語は渋沢栄一氏も敬愛していたといわれ、
また数多くの経済界のリーダーの方や
政治家、学者の方々に今なお影響を与え続けております。
このような孔子がわざわざこの九つを掲げているということは、
リーダーとして非常に大事なことであり、
意味深いことであることは間違いないかと思います。
上記の各事項は、あたり前のことですが、
実際にきちんと実行するとなると一つでも難しいことです。
一つひとつの言葉の意味を今の自分に照らし合わせて、
今後どうしなければならないのかを
考えてみるにはよい九つの言葉と思います。
■強い意志を持ち目標を達成していく
立命館大学総合心理学部教授の高橋潔氏の
「リーダーシップに必要なのは理性より楽観主義」
という東洋経済オンラインに掲載されております
記事に下記の様な記述があります。
----------
人間には、快楽や報酬に反応する
神経系(側坐核【そくざかく】を中心とした快感中枢)と、
不安や恐怖が支配する
神経系(扁桃体【へんとうたい】を中心とした恐怖中枢)が、
別々の脳の仕組みとして成り立っている。
オックスフォード大学のエレーヌ・フォックスは、それを
「サニーブレイン」(お天気脳・楽観脳)と
「レイニーブレイン」(雨降り脳・悲観脳)と呼んだ。
要するに、人間の頭のつくりでは、楽観をつかさどる脳と、
悲観をつかさどる脳が、機能分化しているのだ。
悲観は往々にして楽観に勝る。
不安や恐怖は、われわれの行動を支配する。
その力は予想以上に強く、楽観の3倍以上の力で、
人々の行動をコントロールする。
----------
楽観と悲観に関しては、
京セラ創業者の稲盛和夫氏の下記のような言葉があります。
---------
新しいことを成し遂げるには、
まず「こうありたい」という夢と希望をもって、
超楽観的に目標を設定することが何よりも大切です。
天は私たちに無限の可能性を与えているということを信じ、
「必ずできる」と自らに言い聞かせ、
自らを奮い立たせるのです。
しかし、計画の段階では、
「何としてもやり遂げなければならない」
という強い意志をもって悲観的に構想を見つめなおし、
起こりうるすべての問題を想定して
対応策を慎重に考え尽くさなければなりません。
そうして実行段階においては、
「必ずできる」という自信をもって、
楽観的に明るく堂々と実行していくのです。
--------
脳科学的には、人間は悲観の方が強いということになりますが、
管理職者は、悲観的だけでも楽観的だけでもいけません。
上記のようなことを踏まえて、
悲観と楽観を意識的にコントロールすることが重要です。
管理職者としては実務的には、稲盛氏の言葉にあるように、
お客様や部署内の現状を常によく把握しておき、
強い意志を持って、
今と将来のために獲得すべき成果目標と
行動計画を考え抜いて立案し、それを部下に話し、納得させ、
一緒に実行し、目標を達成していかなければなりません。
厳しい時代において管理職者に求められるのは、
自分の言動を見直し自分自身をブラッシュアップする。
そして、冷静な頭脳と熱い心で、
自分のやりたいことを明確に打ち出し、
部下を引っ張っていく強い意志の力です。
■今、実務で管理職者に求められているもの
実務的には、今、管理職者には次のようなことが求められています。
1.やりたいことを持っていること
「これだけは死んでもやりたい」
というほどの自分の強い意志を持っていること。
2.自分のやってみたいことを部下に話し、
納得して、共感してもらい一緒に行ってもらえること
自分の言葉できちんと伝えられること。
古代ギリシャの哲学者プラトンもリーダーシップに
おける言葉の力の重要性を訴えていたそうです。
リーダーシップにおける「言葉」の重要性に、
歴史上最初に注目したのが、
古代ギリシア時代の哲学者、プラトンと言われております。
3.部下の進捗管理(指導育成)日々行い、目標を達成すること
部下をまとめ上げ、目標達成まで引っ張っていくこと。
管理職者の仕事の原点は、
将来を描き新しい現実をつくっていくことにあります。
冷静な頭脳と熱い心で日々継続して、考えて、考えて、考え抜き、
そして断固として実践していく
強い意志の力がいつの時代にもリーダーには求められます。
|